レポート
メールマーケティングの変遷(展開ステージ) (2008/9/8)
メールマーケティングの進化過程は、下記のように4段階に分けて考えることができます。
- 「メール配信」ステージ
- 「メールライティング」ステージ
- 「メールマーケティング」ステージ
- 「統合的なメールマーケティング」ステージ
メールマーケティングが、上記(1)の「メール配信」ステージだった頃というのは、次のような状況でした。
もう一昔前の話ですが、アルトビジョンを設立した2000年当時、大企業や先進的な企業の多くは、すでに十分なコンテンツを掲載したウェブサイトをオープンしていました。
しかし、ウェブサイトを構築してすぐに気付くのは、どのようにしてアクセスしてくれるユーザーを増やすか、ということです。
ウェブサイトに新たな情報を掲載しても、そのことをユーザーに伝えなければ、毎日サイトにアクセスするような常連のユーザー以外は気付いてくれません。
そこで注目されたのがプッシュ型のメディアである「メール」です。
事前にメールアドレスを登録してもらい、企業側が送りたいタイミングでメールを送ることで、ウェブサイトの更新情報を伝え、ユーザーが興味を持ったコンテンツにアクセスしてもらうことができます。
このような目的で多くの企業がメール配信を始めるのですが、メールのリスト数が増大し、また配信した結果エラーで戻ってくるメールも増えます。
メールマーケティングの担当者は、大量のメールを一定時間に確実に安全に配信するためには配信システムをどうすればよいのか、エラーを簡単にリストに反映する方法はないのか、という問題を解決する必要に迫られました。
つまり、(1)の「メール配信」ステージにおけるメールマーケティングにとっての重要課題は、配信システムの構築/調達で、この頃は、「メールマーケティング」という言葉は「メール配信」とほとんど同義で使用されていました。
メール配信システムを導入した企業は次のステージに移行します。(2)の「メールライティング」ステージです。
登録メールアドレス数が増え、メール配信を継続して行っていると、メールを配信した直後のサイトへのアクセス数が増えたり、問い合わせや商品購入などが増えたり、というメール配信の効果が徐々に現れてきます。
しかも、どうもメールのサブジェクト(件名)の付け方や、メールの書き方によって効果が異なるということに担当者は気付くはずです。
そこで、この(2)の「メールライティング」ステージでは、サブジェクトをどのように付ければよいのか、どのような書き方だとより良い反応を得ることができるのかということ、すなわち、配信コンテンツの作り方が重要課題として持ち上がってきました。
2001~2002年頃には、先進的な企業ではすでにメールライティングに非常に力を入れていたように記憶しています。「メールマーケティング」という言葉も、「メール配信」プラス「メールライティング」くらいまで、幅を拡げて使われるようになってきました。
そして、2003年頃、メールを取り巻く環境は急激に複雑になってきます。
2001年のYahoo! BBのサービス開始などをきっかけに、急速にブロードバンド環境が普及し、常時接続でのインターネット利用が増加してきたことにより、HTML形式のメールを配信する企業が増えました。
また、1999年からの、NTTドコモのi-modeをはじめとするモバイル端末からのインターネット接続サービスの急伸により、モバイルメールの活用が積極化してきました。
PC向けのTEXTメールが中心だった色の無い文字ばかりのメールの世界が、表現力豊かなHTMLメールによって彩られ、さらにモバイルメールの登場もあり、ユーザーとのチャネルが多様化しました。
一方で、ユーザーのメール受信数が急速に多くなり、クリック率をはじめとするメールへの反応が低下し、退会率は上昇傾向になりました。
こういった状況において、メールマーケティングの担当者は、ユーザーから取得したデータをもとに、どのようなユーザーに対して、どのチャネルを通して、どのようなタイミングで、どのようなコンテンツを送ることが、より効果的なのかを模索するようになりました。
これが(3)の「メールマーケティング」ステージです。
ここに来てようやく、コミュニケーションプランニングや効果検証が重要課題となり、「メールマーケティング」という言葉も「メール配信」や「メールライティング」という限定された内容ではなく、マーケティングコミュニケーション全般を指す言葉として使われるようになりました。
現時点では、メールマーケティングはさらに先の(4)の「統合的なメールマーケティング」ステージにあると言えます。
メールマーケティングを含むインターネットマーケティングは、今や企業のマーケティング戦略上、非常に重要な位置付けとなり、経営者層の意向の反映やレポーティングなどが求められることも多くなってきています。
また、制作や配信のオペレーションは、業務量も複雑性もますます増えており、アウトソーシングも含めたオペレーションや組織の見直しが必要な場合があります。
さらに、個人情報保護に対する消費者の意識の高まりを受け、コンプライアンスを担う部署との連携も必須となります。
このようにメールマーケティングに関する活動は、すでに単にマーケティング部門だけのものではなく、戦略、組織・オペレーション、システム、リスクマネジメントなどの要素と深く係わり合い、企業の様々な部門との役割分担や調整を行いつつ進めなければならないものとなっています。
そもそもマーケティング活動は、マーケティング部門だけで閉じて行えるようなものではなく、企業活動そのものを一側面から見たものだと言うことができると思います。そう考えると、メールマーケティングがこのような進化過程を辿ってきたのも自明のことだと言えるかもしれません。
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